前森の記憶 -るんるんな前森山行計画- (2021.7)
アブを主力とした虫たちの襲来。おっさん二人でギャーギャー騒ぎつつも とりあえず準備を整えた。ザックを担ぎ、さて、目的の前森に……ではなく、駐車地点から前森林道の支道を辿り、内唐府沢の左俣支流へと足を向けた。
もともとこの前森、晩秋にキノコ探しつつのキノコ鍋で1泊、藪山ピークハントで考えていた。しかし、藪山が楽な時期、山中泊をするとはいえピークハントだけもなんかワクワクが足りないよね ということで沢泊を絡めて夏に行くことになったのであった。今回の山行プランを振り返って記しておこうと思う。
前森林道と前森
前森林道は地形図上の最終地点からもさらに南東に伸びている。下地図の左の○が虫たちに盛大に迎えられた駐車地点だ。この駐車地点に辿り着くまでも、ジムニーで藪こぎするが如くの林道だが、そこから先はもはや二輪か徒歩でしか通行が出来ないような山道と化している。不明瞭な要素も多かったので、数週前には下見として、北辻倉沢を遡行し、北辻倉沢の源頭で前森林道にぶつかるのを確認していた。そこから先の前森林道の様子も見て、ついでに前森風穴も探しつつ訪れた[前森林道・前森風穴]。その前にも、不案内なこの漆澤ダム周辺。一人で林道を下見に行っていた。
1日目は沢で涼みつつ、遊びつつ、どこか二俣あたりで幕営。夏なのだからもちろんビールにBBQ! 2日目に内唐府沢の左俣を詰めて前森南コルに上がり南尾根から山頂を目指す。暑いけど汗をかきながらがんばろう! そのまま北西尾根を降りる。駐車地点からずっと先になるが、下地図の右の○で前森林道にぶつかるはずなので、あとは林道で駐車地点まで戻る。反時計回りの周回を予定だ。余裕があったら792ピークまであがってから北西尾根を下って駐車地点に直で戻るサブプランも用意する程だった。
お気楽、余裕たっぷりの、るんるん前森計画
距離と標高差から見積もれば、沢、藪を鑑みても余裕も余裕、たっぷりゆったりの安心山行計画だった。なのでお気楽だった。晩飯のビールとBBQが何より楽しみだった。ルンルンだった。…だったはずなのに、今回の山行はいろんな事がうまくいかなかった。二日目、日没が近づく頃、我々はまだ藪の中で藻掻いていた。下山後、いや前森山頂から降り、林道を必死に探すさ中も、数週前に下見しといてよかったと心の底から思うことになったのであった。
ところで、何を隠そうわたしは下見マンなんのだ。かつて山を始めた頃、初めての色麻コースのためだけに、小荒沢林道を徒歩で向かい、大滝キャンプ場を下見した男である。残雪でまるで斜面でしかない箇所もある小荒沢林道はおっかなかったな。山って、経験の積み重ね、そして信頼できる仲間だよなって最近しみじみ思う。
支道を下り、ほどなく我々は、内唐府沢左俣に入渓した。