雨と森が作る源頭
見事な樹幹流。
升沢の森仲間のお友達にいただいた写真です。最近一人でも升沢の森に入れるようになったんだとか。
空から降り落ちる雨のしずく。大きく広げた樹の翼が受け止める。幹をつたい、せせらぎ落ちて根に向かう。雨の日にだけ現れる、ちっちゃな、ちっちゃな、せせらぎだ。大河を遡れば、川となり、沢となり、滝となり、やがて源頭にまで辿り着く。しかし、その先にはこんなちっちゃなせせらぎもあるのだ。雨の日にだけその姿を見せてくれる。川の、沢の、真の源頭は雨の日の森の中に現れる。
写真を見せられて、ひと目で気に入った。その時の情景が目に浮かぶよう。雨の音が聞こえてくる。葉を打つ雨が、太鼓を叩くかのように軽やかにリズムを刻む。葉や枝から落ちた水がピチャピチャと音を重ねる。そこを歩くと、たまに大きな雫が雨具にあたる。パーンパーンとシンバルが鳴る。雨と森と人が奏でるシンフォニエッタ。
乾いた日が長く続いたあとに強い雨が降った時。運が良ければ、木の根本に樹幹流が作る白い綿飴(わたあめ)を見ることができるかもしれない。雨の日に樹幹流をみつけたならば、根本も見てみると、自然が作る造形物に心トキメクかもしれません。ぶくぶく。ぶくぶく。