糸滝沢の記憶。

 

 

どこまでも続く滑床 なんども現れる滑滝

ようやく 源頭にたどり着いた

 

まだまだ沢は初心者だ 不安なところはロープを出した

予定より大幅に時間がかかってしまった

けれど 急斜面の藪を乗り越えれば県境の稜線だ

視界の悪い藪の急斜面と格闘すること一時間

 

先行の一人から歓声が上がる

「登山道だー!」

疲労の色が浮かんでいた仲間の顔がほころぶ

早く外に出たい そんな気持ちで藪を漕ぐスピードもあがる

 

登山道に出るとすぐ先には山頂らしき標識が見えている

まさに頂上を目指して最後の詰めをしていたようだ

コロナ自粛ですっかり重くなった体を押して よたよた山頂にたどり着く

 

ふと目を横に向けると 抜けるような青空の下 眼前に広大な景色が飛び込んできた

自粛でとんとご無沙汰していた山形だ

宮城から沢を詰めた先で 数カ月ぶりに目の前に現れたんだ

その先には思い出の多い月山、朝日、飯豊もくっきりと

歓喜と感嘆の声が皆から上がる

 

 

山を登った!

沢を詰めて登り切るとまさにそういう気がしてくるんだ

不思議なものだ

 

沢は本当にいいなあ