スマホGPSのトラブル事例
山でスマホGPSを使っていて、経験した、ありそうないくつかトラブル事例。
1.現在位置が捕捉できないトラブル
1.1 地形上によるもの
自分のいる地形がたまたまそういう場所で、飛んでいる衛星もたまたま障害物にぶつかるような位置にあると、現在位置の誤差がどえらいでかくなるという事例。
時として、場所によって、十分な数の衛星を捕捉できない時がある。ひどいときには数百mの誤差となり、最悪のケースでは現在地が出なくなる。捉えている衛星の数は、地図アプリに寄ってはこんな風に確認することができる。衛星数(E/U/V) : 21/4/22、平地だとこのぐらい多くの衛星を捕捉できて、測量上有利な衛星を使うので誤差はかなり小さい。
このように、周囲が開けた平地にいる場合は多くの衛星を捉えることが出来て、誤差は数mレベルで常に高精度なのだが、山では事情が異なる。谷地形にいる時は真上に空こそあれど、周りが谷で塞がれていれることもある。そうなると、補足できる衛星は必然的に少なくなり、ひどいときは4,5個の衛星しか補足できないことがある。GPS(グローバルポジショニングシステム)はこんな方法で位置を決定するのだが、衛星の数が多いほど誤差は小さくなるわけで、当然ながら補足できる衛星数が少ない時は誤差が大きくなる。また、衛星が散らばって捕捉できていなければならないので、谷地形で頭上上空の衛星だけを数多く拾えていても誤差は大きい。
対処方法:上の事実を知る。空が開けた稜線や山頂以外の場所では、山は必ずどっちかしら、遮蔽物となって聳えているはずだ。ここは平地ではない。山では誤差は大きくなる。そう思っておくことが大事。誤差が大きいと判断出来る場合は、地形図を使っての位置捕捉しながら歩くことが重要となる。
1.2 ソフトウェアによるもの
現在位置でないよ!トラック取れていないよ! 何度か経験している事例。
つい先日も、南面白山山頂に着いた時、GPSトラックはどうなっていただろうと確認してみたら、下図のようにGPSトラックの取得が止まっていた。ソフトウェアによるトラブルだと思われるが、他のアプリも含めて3回ぐらい経験あり。事情ははっきりとわからないのだが、空が開けているのに、突如として衛星の捕捉ができなくなることがある。調べたところによると、アプリ自身が原因となる場合もあるし、OS(Android)が原因となっている場合もあるらしい。似たような事例として、登山口についてさぁ取得開始と、STARTを押しても、一向に現在位置が捕捉できないときがある。
対処方法:スマホを再起動する。衛星位置情報を整えるまでの時間も必要なため、開始時はある程度待たなくてはならないのですが、いつまで経っても始まらないことがあります。そういう時は再起動で直ることが多いです。
この日は山頂でスマホ再起動、トラック取得開始したのだが、下山後に確認したらきちんと取れていた。アプリが不具合となるケースもある。アプリだって人が作ったものだからおかしくなる時はあるのです。信用しきってはいけません。対処方法は、別のGPS地図アプリも入れておくことです。
2.バッテリーのトラブル
- あまりやらない小屋泊に普段使っているスマホGPSで山行に臨んだら、翌日、バッテリーが切れた。
- スマホで写真撮りまくっていたら電池切れた
- 前の晩に充電し忘れた
- 対処法
- モバイルバッテリーを持つ
- GPSが動き出したら機内モードにする
- スマホで写真を撮ることは極力抑える(写真は結構バッテリー食います)
- データ通信をオフにする。メールやLINEはこなくなる。通話は出来る。せめて歩いてる時ぐらいLINEしなくてもいいじゃん!(笑)
- 冬季は、低温での放電消費を抑えるために暖かい場所に持つ。胸ポケットなど。
- 小屋泊テント泊で寝る時は寒いとこにおかない。泊地についたら電源を切る。
- モバイルバッテリーの間違った利用。モバイルバッテリーとスマホの隠れた機能、”給電” 吸電”、2つのモード。
- モバイルバッテリーには、電気を吸うモード(充電)が当然あるのだが、スマホがこの充電器になれるものもある。両者が重なると、充電してるつもりがモバイルバッテリーにスマホ電池が食われた!なんてことがあります。実際に一度経験あり。モバイルバッテリーがフル充電なのに、充電が自動オフになるタイプじゃなかった。そして、スマホから電気を供給し続けたあげく、スマホ電源は空っぽに。
- 対処方法
- モバイルバッテリーの説明書を読んでおく!スマホにそんなモードがあるかどうか調べておく!
- 差し込んだ時に確かに充電(電気をもらっているか)目で確認する
3.スマホを無くした、落として壊した、濡らして壊れた
物である以上、時に無くなります。機械である以上、時に壊れます。GPSが無いと歩けないのであれば致命的になりえます。
対処法
- 以前に持っていたスマホを予備機として携行する。中古で安いのを買ってきてバックアップにする。当然電源は切っておく。
- GPSは、データ通信を必要としません。地図さえ事前にWIFI環境で読んでおけば、普通に地図アプリを使えます。
- スマホを頻繁に取り出さない。下はたいてい石があるのが山という所。落としたら壊れる。
- 締まった急斜面の雪上でスマホを出さない。月山で300m近く大滑降しているスマホを見たことがあります(笑)
- 防水袋を持つ。防水スマホを持つ。最近のスマホの防水性能はびびるぐらいすごいのがある。
- 無くなったら歩くのに困るような山には一人でいかない。複数で歩けばスマホも複数。
- 地形図で歩けるようにする
それぞれ、対処方法は、あるものはありますが、無いものは無い。GPSという技術の恩恵は素晴らしいものではありますが、ハードウェア(精密機械)とソフトウェアからなるものですので、絶対ではありません。わたし自身でさえ、上のようなトラブルを経験しています。なので、GPSに頼りすぎるとリスクが高まります。最後に頼れるのはやっぱりアナログ。長く山を続けるのであれば、長くその機会もあるわけですから、ちょっとずつ地形図を見れるように、使えるようにやっていけばきっと幸せになります。
何を隠そう私は方向感覚は悪いです。三越に入って、違うところからでると仙台駅はどっちだっけ?あれ?ってなるようなタイプです。地下道でも方向よくわからんくなるようなタイプです。このように、方向感覚は悪いですが、地形図はやっているうちに次第に使えるようになってきました。改めて思うに、地図読みというものは方向感覚が無いと出来ないというものではありません。シルバコンパスの使い方を覚えて、少しずつ練習していけばきっと使えるようになります。地図が読めるようになり、使えるようになると、地図アプリを使って地図を使いながら歩く技術も向上します、地形図を使った山の楽しみ方の幅もきっと広がります。