寒風山の記憶(2018.12)

 

 

2018年12月1日。宮城県と山形県の県境、48号線の関山から、泉ヶ岳オーエンスまでの縦走をしようと思い、県境へ車を走らせた。寒風山の手前から白髪山までは、登山道整備がされなくなってから久しく、藪に満ち満ちているらしい。それに、標高1000mあたりからはさすがに新雪の積雪も予想される。この時期の締まってない積雪はやっかいなのは承知していた。生憎天気も悪かった。

関山に車を置いて登り始めると、晩秋の装いの登山道は快適だったが、上空には強い風が吹いているようだ。主稜線に上がり寒風山に足を向けると、やがて天候はひどく荒れていった。高度が上がるに連れ、みぞれ、雪へと変わる。ごうごうと風が鳴る。木々が軋めく。悪天ながらもしばらくは登山道。問題なく歩を進めるが、寒風山の手前で登山道の刈払いが遂に消え失せた。笹に雪が乗っている。

寒風山手前、笹薮と雪藪

装備は十分、氷点下でもビバークもできる。笹薮雪藪をかき分け寒風山へと向かう。しかし、時間に遅れが目立ちはじめた。経験のある人は分かるであろうが、この雪が乗った笹薮は難儀する。寒風山にようやく辿り着くも、下りが厳しかった。笹薮に乗った雪で何度もすってんころりん。踏ん張ってもブレーキがかからない。登っていた時は気にならなかったが、下りが始まると一気に体から熱が引いていく。寒い。前半は雨に打たれていた影響もあった。それよりも風だ。笹と雪で四苦八苦していたため、無駄に汗をかいている。風が強く寒い日に汗をかくような歩き方は厳禁なのだ。雨具を通して出てきた水分が風で即座に飛ばされる。どんどん熱が奪われていく。ところで、スノーハイクを始めた人が寒いからといってもこもこ着る人もいるけど、あれも危険だったりする。体温と汗の調整ができなくなるので返って躰を冷やしてしまい危ない。

 

 

戻ろう。そう思ったのは寒風山から鞍部に降りきったところだった。尾根を再び登り返し、寒風山を乗っ越して関山へと戻ることにするが、風は一向に収まらない。体に熱も戻らない。歩いていても歯が鳴る。低体温症の兆候が出ているのだろう。お湯を何度か飲むものの、とにかく寒かった。雨具の下の衣類を触ってみる。しっとりとしている。雨具を通して雨で濡れたのではなく、汗と、雨具の内側で発生している結露だろう。着替えたほうがよいだろうとも思ったが、高度が下がっており雨と風に変わっている。停滞して着替えをするだけでずぶ濡れになりかねない。下山を急いだ。

寒風山方面を振り返る。高度が下がると、雨と強風に変わっていた。

 

 

関山に降りてほっとするが、体の震えは収まらない。車の暖房をつけ、車内で着替える。相変わらず寒い。温泉に入ろうと山形へ向かうが、なかなか躰に熱が戻らない。危険だったなと反省しつつ温泉に入ると一気に躰にぬくもりが広がった。生き返る。温泉を出ると、衣類をコインランドリーで洗って乾かす。泊まり装備もあることだしと、柳沢小屋へと向かった。一人かなと思っていたら同宿な人たちが随分といて驚いた。楽しく一晩明かして仙台に戻った。

 

柳沢小屋で一晩明かす