畑をめぐる冒険
根白石に薄明光線が射す
を先にお読みいただいたほうが、読みやすいと思います。
今年で2年目となる畑をめぐる冒険。
昨年の惨憺たる結果を振り返る。
あまりにも思慮のない探索だったからに違いない。
そこで、
僕らはまず、情報をあらためて分析すべく、
資料を作った。
僕ら と言っても、
こんなしょうもないことに情熱を傾けるのは、
ぷーたしかいないのであるが。
やまー に資料を見せ、新たに分かったことを報告する。
―― どうでしょうか?
―― アホですね(笑)
やまー に重要と思われる写真と分析結果を報告する。
―― 写真にはここに影があります。つまり朝陽の方向が影によって決まる。記事の端々の文脈から時刻を推定するに6時15分前後。写真が左右にひっくり返されている可能性も残るが、ワイパーが左に向いているのでその可能性は消えます。また、今年は、○○氏を信じる方針なので、疑うことはやめます。その時刻における太陽の方角。記事の年月日、天文台の資料によって太陽の方向が決定される。よって、この写真の向いている方角が推定できます。加えて、木材を置く納屋。正面に家。家の屋根もなんとなくうかがえる。納屋の屋根は青い。その手前には樹木。田んぼらしきものも見えます。ここにイノシシ柵があることになります。
―― アホですね(笑)
―― Googleマップの衛星写真と、地理院地図を照らしわせて探してみようと思ったのですが、衛星写真は建物は分かるけど、林道は分からない。一方で、地理院地図は、林道や作業道はわかりやすいし、建物の記載はあるけれど、樹木の有無や、屋根の色は分かりづらい。そこで、地理院地図を半透明化して、Googleマップの衛星地図に重ねようと思いました。透明度のアルファは調整可能です。ブラウザ上で、レイヤーを重ねた上で自動でスクロール可能なブラウジングシステムを用意したのです。
―― どうです、便利だと思いませんか?
―― アホですね(笑)
―― 写真の部分の平面概略図を手書きで描いてみました。これに合致するものを、先程の地図ブラウジングシステムで探してみました。しかし、ものすごく大変なんです。何日かかっても終わりそうにありません。そこでUWSCによる自動化によって、地理院地図画像データを矩形で細分化したものを全てダウンロードしました。それをPhotoshopのスクリプトライブラリーを使って、その矩形地図を二値画像にしてから線分化して単純にしました。あとは建物と道路の概略図に一致するものを自動的に判定分析するプログラムを用意。数万枚の矩形地図の中から80個ぐらい候補があがりましたので、これをあらためて先程のブラウジングシステムを使って、衛星写真と照らし合わせました。結果、1つの候補が浮かび上がりました。
―― どうです、合理的だと思いませんか?
―― アホですね(笑)
―― それと、もし見つかった場合、僕らはその証を打ち立てるべきだと思うのです。勝利の勝どきをそこで上げねばなりません。そこでこんなものを用意しました。
―― 僕らが今年、山開きにの日に磐梯山に行った時にもらった旗です。これを畑に打ち立てましょう。
―― 彼らのように、ぼくらも勝利の雄叫びを上げるのです。
―― アホですね。なぜ磐梯山(笑)(笑)(笑)
―― 大和町のしがない麓に打ち立てる輝かしい磐梯山のフラッグ。いいではないですか。
―― まぁそこから行ってみましょうか(笑)
僕らは、自分の探し当てた地点へと車を走らせる。
ほどなく、僕らは該当の地に着いた。
そして、そこには!
あったのである!
あの木材の納屋とおぼしき建造物が!
そしてその裏手には、
写真とそっくりの家が!!!
我々は歓喜した!!
僕らは、羊の住むあの町へ畑の入り口に辿り着いたのだ!
しかし、ここでやっと入り口である。
僕たちは、資料から読み取れるさらなる情報を基に畑を探す。
ここか!?
いや違う。これはカワラタケの一種だ。
ここか!!??
いや違う。これは新たに見つかったムキタケ畑だ。
規模が小さい。
ここか!!!???
いや違う。これは新たに見つかったヒラタケの大牧場だ。
意図せず、大量のキノコを見つけた。
そして、
程なくして、
僕らは思った。
このまま捜索を続ければきっと見つかる。
しかし、
見つかった時、この冒険は終わってしまう。
と。
該当地はもう見つかった。
あとは探すだけの詰めでしかない。
と。
キノコもたんまり見つかった。
僕らは既にもう大満足である。
と。
そして、僕らは思った。
山に雪が降るまでのこの時期。
こんなに楽しいイベントを今年で終わらせてしまうのはもったいない。
と。
僕らはすでに感謝の気持ちが湧き上がっていたのだ。
こんな季節に、こんなにも楽しいエンターテイメントを提供してくれた○○氏へ。
感謝の気持ちが。
なんと楽しいことか。
と。
磐梯山のフラッグを打ち立てるのは来年でもいい。
来年、また、楽しもうではないか。
と。
今年はここまでいい。
と。
僕らは、いったんこの地を去り、山を超えた湖畔に車を走らせた。
そして、勝利したかのようにコーヒーで乾杯した。
Continued on next year