クリタケ(食) ニガクリタケ(毒)

クリタケ基本情報

  • 傘色 美味しそうな栗色。縁はやや白っぽい。遠目に赤。幼菌時には白綿毛のようなものに覆われる。
  • 傘面 饅頭型~ドーム型に開く。大きくなると縁はビラビラと波打つ。
  • 傘裏 白~灰褐色~古くなると紫褐色。ヒダは直生か垂生。
  • 柄  固くしっかりする。下の方は茶褐色。
  • 場所 広葉樹の倒木、切り株など。折り重なるように束生する。傘の大きさは不揃い。
  • 匂い 特になし。
  • 時期 秋(10月頃、ムキタケやナメコの出始めと近い。秋のキノコシーズンが終盤に差し掛かる頃。)

特徴

倒木、立ち枯れの木などから生え、重なるようにびっしりと束生する。若い幼菌の頃は見るからに美味しそうで可愛らしいくりっとして、色も形も栗のようなキノコ。注意すべきは似たキノコとして毒性の強いニガクリタケ(毒)があること。味もよく収穫量も多いので覚えたいキノコである。宮城、山形だとナメコやムキタケの時期とほぼ重なる。宮城の栗駒山周辺、船形山山域では、10月上旬~中旬が採り頃。

 

見分け方、同定

若い頃は傘の中央部がややとんがって愛らしい形をしている。美味しそうな、赤っぽい茶色の傘を持つ。幼菌~成菌までの間は形といい、色といい、栗である。古くなり傘が開き出すと褐色の色が強くなる。見分け方で注意すべきはニガクリタケ(毒)である。ニガクリタケが怖くてクリタケを採らないと言う人も多いけれど、両方見たことがあれば見間違いようはない。クリタケと間違ってニガクリタケを販売してしまった事件もあるので注意を要する。見分け方としては、ニガクリタケとの違いをよく知ることにある。

 

  • まず色。クリタケは遠目に赤ニガクリタケは遠目に黄、と覚える。
  • 幼菌~成菌の頃、クリタケには傘表面(特に縁側)と柄に白いササクレがある、これも大きな特徴。
  • 柄の部分を確認。クリタケの柄は太くしっかりしており根本が茶色いことが多い。傘が開く前の小さい頃であればクリタケの柄には傘と同様の白いササクレが確認できる。傘が開いた頃はササクレもなくなり半分から下は茶色くなる。ニガクリタケは柄がすらっとしていたササクレもなく、細く柔らかい。色の違いと同じぐらいにこちらも違いが大きい。
  • 次に大きさ。あまり見分け方で解説されているのを見たことがないが、傘の大きさの差がひと目で違う。同じ傘の開き方であればクリタケのほうが一回りは大きいい。ナメコぐらいの大きさがある。開いたときも同様。クリタケは5cm前後かそれより大きくなるがニガクリタケは3cm程度。
  • 齧れば一発。ニガクリタケは一噛みしたらすぐ苦味が広がる…とよく書かれることが多いですが、実際噛んでみると苦くない株や個体もある。噛めば分かるというのは危険かもしれない。やはり色と柄が分かりやすい。幼菌~成菌~老菌の特徴をそれぞれ覚えましょう。
  • ニガクリタケが古くなって大きさがでてくると、褐色が強くなり色が似てくる。それでも大きさはクリタケに比べれば小ぶり。遠目に黄色は変わらない。間違ってニガクリタケを採取したり販売したりした事例はこの頃のニガクリタケだと思うが(幼菌~成菌の頃のニガクリタケを卸したと言うなら目も当てられないひどい業者だ)、柄の部分の確認をすれば間違わない。クリタケは柄ががっしり、傘色に似た系統の色。ニガクリタケの柄は細くがっしとしていない、これまた傘色の黄色みのある色。
  • クリタケは開いてくると傘の縁がビラビラしてくるのでこれも覚えておく。と同時に、傘が開き切る前のクリタケを採るようにすると間違う要素は無い。

 

傘がやや平らになったものを採らないことにすれば、ニガクリタケと大きさや色の違いは際立っており、まず間違わない。饅頭型のころのクリタケは綺麗な栗色と羽毛のようなものがついている。柄も白っぽい。ニガクリタケは比較的小さく、黄色が強く、柄も黄色。傘が開いてやや大きくなるころに、やっとクリタケの幼菌程度の大きさになり、色も少し似てくる(褐色が増す)。傘が丸っこく饅頭型をしていてクリタケの似ているもいえるが、饅頭型のニガクリタケというのはかなりの幼菌の頃でありその頃はニガクリタケの黄色ははっきりしている。ということで、開いたものを採らないことにすれば、色、大きさ、形の違いが明確。古いクリタケは持ち帰るまでの間にもかなり腐蝕が進んでしまうという理由もある。

 

イラストで見るクリタケとニガクリタケの違い

(イラスト お山(産)歩雑記 より)

クリタケとニガクリタケの違いがとてもよく分かるイラスト。幼菌の頃のクリタケはクリっとして丸っこく、まさにかわいい栗のよう。一方ニガクリタケは幼菌~成菌まで傘がクリタケより開いていて平らな傘をしている。老菌になってニガクリタケが褐色味を帯びて色が似てきた時だけ要注意。幼菌の時は、傘色、傘の形など、違いが分かりやすいのでまず間違うことはありません。イラストは山の森のイラスト作成などで活躍されているお山(産)歩雑記の平田さんの画です。その他のイラストも自然の生き生きとした絵がたくさんあります。※イラスト掲載許可は頂いています。

 

 

似たキノコ

ニガクリタケ(毒)

 

下処理、保存

軽く水を流してゴミを取る。柄の根元の茶色い部分は切って落とす。濡らすと傘表面にヌメリがでる。色によってはナメコそっくりに見える。そのまま冷凍。一度茹でる必要は無い。成菌より古いものはビニール袋でもちかえった場合はムレて劣化がひどい場合があるのでそうなったら捨ててしまうこと。

 

食用

鍋など何でも。汁や鍋にすると見た目はナメコそっくりで、ナメコほどではないもののヌメリが出る。味はナメコのやや癖のある部分を取り除いたような味で、マイルドなナメコといった感じ。ナメコが苦手な人もクリタケなら好むかもしれない。炊き込みご飯にしても美味しい。

 

★★★☆☆

 

 

 

遠目に赤、を覚えましょう。あと傘の縁がややびらびらしてるとこと、白いつぶつぶやササクレがある。

 

 

 


裏面。このような傘が開く前のものを採ることにすれば、ニガクリタケとの違いは明らかで、間違いようがない。傘の縁のササクレも覚える。

 

 

 

 

 


老菌のクリタケ。傘の縁がビラビラになるのもポイント。この頃のクリタケは袋に入れてもちかえると数時間であってもムレてかなり劣化が進むので、近場であったりすぐ下処理ができる環境に無いなら採らないほうがよい。

 

 

たまごボーロみたいで美味しそうだけど、全部ニガクリタケ

 

 



ニガクリタケ、見た目に黄色。

 

 

 


ニガクリタケの傘裏。美味しくなさそうなオリーブ色をする。柄も細身で、傘の色に似る。クリタケのような柄のガッシリ感はない。

 

 

 

 

クリタケに似たニガクリタケ
これがクリタケと間違うかもしれないニガクリタケ。古いとこういう色になる。ただし大きさは全然違う。クリタケは開いて古くなると独特の傘縁のビラビラができるのと、もっと大きい。柄もこんなに細くない。大きさを覚えればまず間違いません。

 

 

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