ナラタケ・ナラタケモドキ(食)
基本情報
- 傘色 淡褐色~茶褐色(古くなると濃い褐色)
- 傘面 4~15cmで中央はやや平らかくぼむ。幼菌のときは饅頭型。傘の表面の外側に条線が見られる。傘の表面、中央部に黒い鱗片(よくみるとササクレている)
- ヒダ 並んで垂生。最初は白灰色、やがて、褐色に近い色になり、古くなると濃い茶~黒の染みが見られる。
- ツバ ツバがあるものがナラタケ、無いものがナラタケモドキ。味はナラタケが勝る。
- 柄 6~12cmで表面に褐色の条線。下部が上部より太くなる。
- 場所 広葉樹の倒木など。
- 匂い 特に無し。
- 時期 春~秋
- 別名、ポリポリ、アマンダレ、オリミキ
特徴
人気の食用キノコ。ナメコ、ムキタケと並び、発生率、発生量も多く、たくさん採れるキノコである。同じ場所から株となって出て来る、近くに何株も見つかることが多く、箱単位で収穫出来る場合もしばしばある。ブナの森の秋キノコの先駆けとなるキノコでもあり、大量発生しだすと秋のキノコシーズンの到来を告げるキノコだ。また、成長も早く、数日遅くなるだけで全て腐っていたということもよくある。痛み方でその様がかなり変わるので注意を要する。土に埋まった倒木から生える場合もあるが、要注意のコレラタケとの間違いを防ぐためにも朽木のものだけ取ることを最初は心がけよう。腐朽力が強く、桜やカラ松を枯らすこともあり(ナラタケ病)、害菌扱いされることもある。株ごとそのまま抜くと土や苔がたくさんつくので、一本一本折りながら取ったほうが後の手間が省ける。また、比較的持ち帰りの間に崩れやすいやわらかいキノコなので、下処理に手間がかかるような採り方をすると、下処理時にだめになっていく場合も多い。ゴミが極力付かないように丹念に採取するほうがよい。いったん下茹でしてしまってから下処理すると身が引き締まって処理もしやすくなるのだが、せっかくの出汁が出てしまうという欠点もある。たくさん採れて、味、出汁ともよく、美味しいキノコである。
見分け方、同定
朽ちた倒木や土から出ていることもある。株状に生えているのも1つの見分けポイント。重要なチェックポイントは次の3つ。
- 傘表面の中央部に黒または褐色の鱗片。よくみるとササクレている。
- 傘表面の外(縁)側に条線
- 柄を折ってみる。乾いた枝を折ったようなポリっとした感触と音が残る。
その他、傘は平らかやや窪んでいること。饅頭型をしている若いキノコの場合はヒダが茶色くないこを確認。柄が根元に行くほど若干太くなっていること。古くなるとヒダは褐色に汚くなり、美味しそうには見えず、見た目的には毒キノコに見える。また、ポリポリの別名の通り、柄を負ってみるとポリッと音がする。柄のツバまたはツバのあとを確認して、ツバがあればナラタケ、なければナラタケモドキ(サワモダシ)であるが、地域によって区別はしていない。ナラタケのほうが美味しいとも言われるが、ナラタケモドキもとてもよい出汁がでる。地域によって様々な呼び名があり、ナラタケもあわせてサワモダシと呼ぶことも多い。
似たキノコ
コレラタケ(猛毒)
上の3つのポイントが最重要項目。コレラタケには黒い鱗片と条線が無い。色も違うが(コレラタケは茶~褐色)、古いナラタケは少し色が似てくるので注意。コレラタケは地表のおが屑、残飯、ゴミ、たまに朽木に付くが、地表面のおが屑等から生えている場合は、分からないうちは避ける。コレラタケの傘はヌメリ、光っている場合が多く、雨のあとの幼菌のときは、ナメコとの勘違いにも注意を要する。不完全なツバを持つが落ちている場合も多い。鱗片、傘の外側の条線を必ずチェックする。コレラタケには無い。また傘は中央部がふくらんだキレイな傘形状をしていることが多いが平らなものもある。ナラタケは同じポイントから密生していくつも着いている場合が多くこちらも総合的に判断する。
上の3つのポイントをしっかりすればナラタケと間違うことはない。雨のあとなどの幼菌のコレラタケはむしろナメコと間違うことが多く、ナメコ取りの方にむしろ注意を要する。
オオワライタケ(毒)
上の3つのポイントが最重要項目。成菌のオオワライタケは黄色いので見間違うことは無いが、老菌には注意。色もにてきて、傘表面に鱗片(つぶつぶ)、そして、ナラタケ(ボリボリ)の特徴である柄がポキポキと折れるところがそっくりだ。ナラタケの特徴である、3つの特徴のうちの1つ、傘の縁にある条線があるかないかをよくチェックしてほしい。
オオワライタケ(推定)、柄がポキポキと音を立てて折れるところはナラタケとそっくり。しかし条線がない。
ナラタケとコレラタケの見分け方のポイント
- 柄を折ってみる。ポキポキと折れるかどうか。とにかくこれ。
- コレラタケは柄が中空。
- ともにツバはあるが(ナラタケモドキは無い)、コレラタケはツバより上部が傘色と同じかやや濃色。繊維紋がある。
- おが屑から出ていれば採取しない
- 一箇所から重なるように、広がるように出ていればナラタケ。
- 倒木から出ているナラタケだけを採取する。または、土に埋もれて土からナラタケが出ているようにみえる時は、下に倒木があるかどうか少し掘って確かめてみる。
他に猛毒のドクササコと似ているともいわれるが、傘の形状の違いが異なり、出る場所も異なる。ドクササコは地上。
後処理、保存
乾いたまま採れたものは付着するゴミ等を取ってそのまま保管可能。やわらかく若いものは当日か翌日使ってしまうか、茹でて冷凍保存となるが、茹でた場合はせっかくび出汁が煮汁にほぼ出てしまうので煮汁も凍らして保管するなどしないと美味しく食べられない。出汁がでてしまったナラタケは食べても味はあまりしない。ナラタケは持ち帰ったら茹でて冷凍が基本のように書かれていることが多いが、個人的には、ウェットティッシュなどでゴミ取りをするぐらいにして、即座にそのまま冷凍をオススメしたい。風が強ければ乾かすことも可能。出汁目当てであれば乾燥保管がベスト。
食用
あまり目に見える虫は付かないので、虫出しに神経質になる必要は無い。いい出汁が出るので、洗いすぎると味が落ちる。柄の部分は繊維質で固く、食べると食感は良いが、食べ過ぎると食あたりするので注意。食べる人はいくら食べても平気。出汁、味とも強いので、味の強い料理に入れても負けずにいい味を出すことから東北では人気が高く、古くなり黒くなったものを採取してくることも多いほど。柄の部分も出汁を取るために使われる。汁物からグラタン、パスタなど何でもござれ。生食、柄の過食は避けたほうがよい。汁物を作る時は、軽く洗う程度にして、傷んだものや、柄もすべて入れて一旦茹でて出汁を目の少し細かいザルなどでこして使うと良い。その後、硬そうな柄やゴミを取る。
ナラタケ汁
ナラタケ自体にあまり強い味はない。いい出汁はでるものの、味付けしすぎたり、他の具が多くなるとせっかくのナラタケの出汁や香りが消えてしまう。ネギやお好みの肉(ソーセージなどで可)ぐらいにして、ナラタケは多目に入れて、白ダシなどで薄く味付ける。ナラタケ多すぎかな?と思うぐらい入れてしまってよい。煮えてくると香り立つキノコの匂いと、味見してみるとキノコの風味が口の中に広がる。ナラタケは是非薄めの汁でお試しあれ。上手く出来たナラタケ汁は、ナメコ汁を凌ぐぐらいに美味しく、個人的にはナラタケのほうが好みである。
味
★★★★☆
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サワモダシを乗せたピザ(焼いても意外に美味しい)
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