大行沢の記憶(2020.6)

 

 

とある、母校の二校と毎年応援合戦を繰り返したあの高校の山岳部の遡行図から。

 

駒止の先の巨岸帯

「その後、巨岸帯がF3の手前まで続く。不快で苦しい。人間楽しいことばかりでないなと悟る。初めての人は迷子にならないように。」

2段滝の後

「c654から天国のようなナメ。なんの苦痛も伴わない。人生苦労すれば報われることがあるものだな、との思いがする。針の穴からラクダが歩いてくるくらい楽である。」

 

感性溢れる高校生らしい楽しげな表現である。巨岩(岸)帯はとくに楽しげな表現だったし、実際行ってみるとなにやらその空気を感じた。

 

ちゃんとハーケン打って、ちゃんとセルフ取って、ちゃんとランニング取って。悩むぐらいなら即座にロープ出して、と。初心者同士で初心者らしく、清く、正しく、沢遡行。二口から歩いて、駒止の滝から入渓、小屋まで。帰りは登山道。往路は7時間弱だった。予想通り、下から入渓して、へつり地帯と3m滝をやり、上まで、そして下山。これを日帰りで行くのはまだ無理のようだ。ともあれ、課題はみなそれぞれきちんと見えたようだ。同じ箇所で同じくロープ出したとしてもこの時間を詰めるにはどうしたらいいのか。装備の携行方法。自分でやって見るからこそ、その大事さがわかる。次の行動が決まったら自発的に個々が無駄なく動く。ここから必要なのはとにかく慣れと経験。これを得るには、時間がかかるからといって、手抜きせずにきちんとロープを出していくことだ。

いつか下から上まで日帰りでいけるようになりたい。日帰りしたいからではなく、ここをロープ出しの手抜きなしで日帰りできるようになるというのは、ある程度の物差しになるからだ。沢を始めようとする人には、色んな意味で良い沢だ。楽しさと厳しさを、そして、学びを与えてくれる。神様が作りし天国の沢。

 

辛く苦しい巨岩帯の入り口に待ち構える巨大なおむすび達