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律速段階

 

気温10℃、湿度65%のときに、風速によって体感温度はどうなるか。

 

ミスナールの計算式より。

 

 


 

 

晴れていても合羽は必要だ。

 

 

山の天気は変わりやすく、

いつ雨が降るか分からない。

 

 

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というだけではない。

 

 

風によって熱を奪われないために

合羽は必要だ。

 

 

 

表面が濡れていれば風は水を蒸発させ、

熱を奪う。

うちわで扇いだら涼しくなるように。

 

 

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強風、汗、停滞時。

風防できないと急速に体から熱は奪われる。

だから、雨が降らなくても合羽は必要。

 

 

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雨に強風が加わると・・・

 

合羽を着てたって、合羽の表面から水は”蒸発”する。

 

 

気化熱(潜熱)によって、

合羽の内側にある熱はもっていかれる。

 

 

それでも直接衣類から蒸発するのに比べたらずっとまし。

風防はとにかく大事。

 

 

100円のエマージェンシーシートも便利

過酷な状況では生死を分ける100円シート。

 

 

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風速1mにつき体感気温は1℃下がる

 

 

 

 

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トムラウシ大量遭難 7月、気温8~10℃、風速20~25m

 

体感は-5℃以下

 

水濡れの状況で体感-15℃ぐらいになっていたとも。

 

 

強風&雨、合羽を着てても熱は奪われて7月なのに低体温症。

 

 

断熱ゴアテックスでも出ればこの問題は回避されるだろうがそんなものは今のところ無い。何より断熱されたら暑いときはサウナになる。

 

 

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この手の話は、化学工学が得意とする分野。

 

現象とメカニズムを定性的、定量的に説明できる。

 

 


日常の化学工学 
洗濯物は風があるとなぜ早く乾く
-物質移動境膜のはなし-

 

 

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雨対策で合羽着てるのになんで熱取られるの!

 

 

って聞かれたので。

 

 
テントで雨のためにフライをつけるのと同じ。間に外気を挟むので、フライからの水の蒸発、あるいは流れる水によって、テント内の熱を持ってかれることがなくなる。外気温差との熱伝導は当然あるから下がることは下がる。冬季にシングルウォールテント(ツェルト)で何とかなっちゃうのも同じこと。
 

 
強風雨で合羽着ても寒い状態なら、さらに1枚、できれば風を通さなくて濡れないようなやつを着る。断熱目的。一番下図パターン。ビバークでツェルトビバークやエマージェンシート被るといいのも同じ原理。
 

 

 

 

律速段階

 
雨+風で、合羽着てても体感温度が下がるのは・・・上の話は水分蒸発に着目した放熱の要素の1つでしかありません。さらに効果が大きいのは、風による空気の境膜の薄膜化(合羽と外気の間にある空気の境膜が風で薄くなる)である。それも考慮しないといけないから、上の温度分布の図は実際にはこうならない、あくまで気化熱のみを考慮した場合の概念的な説明。おそらく薄膜化の伝熱促進の影響の方がでかい。さらにもう1つある。雨着によるゼロ境膜化&風による付着雨滴の混合拡散&伝熱&風によるその水の吹き飛びである。これにより直接熱が飛んでいく。これら2つが実際には支配的だと思われる。化学工学ではこういうのを律速と言う。どのメカニズムが速度を支配するのかを探しあてることが化学工学の本質だ。そしてそのメカニズムのことを律速段階として結論付けるのだ!キリッ

本当の温度分布図はどうなるのか。楽しそうなので実験して定量解析したいところなのだが、時間も金もかかるしやめておこう。何よりやったところで商売にならない(笑)それこそゴアテックス社がさんざん実験や解析をしていることだろう。

2番めのメカニズムとしては、境膜の薄膜化で伝熱が促進されるためである。つまり、合羽内部の体温により暖められた熱気が、合羽を通して熱伝導による放熱するのだが、薄膜化によって⊿Tが大きくなり、熱移動量が大きくなる。似たようなしくみを使うのが、CPUの空冷や、ラジエターの空冷。空気の入れ替えの意味はあるけど、それより効果がでかいのが直接風を当てることによる境膜の薄膜化。熱伝導を促進することで冷却する。こういうのを総括伝熱係数を上げる、とか言ったりする。このあたり、大学院の化学工学や機械工学で習うような話かもしんない。境膜とか二重境膜とか総括伝熱係数とかいうやつ。物質移動や熱移動のメカニズムを論じるときによく登場する。3番めは説明がややこしいので省く(長くなりそうでめんどくさい。読む人もいない)。酒の席で無限に時間があるのなら!聞きたい人なんていないだろうけど!

残り2つもいれた本当の説明はどうなるのか? まぁ大筋は変わらない。理由はどうあれ、テントも人体も、フライや合羽で、風防・耐水することで放熱が抑えられる。なぜ防げるか? 蒸発気化熱、水(流)による直接的な熱移動、総括熱伝導係数の増大に抗う、ということである。

まぁ・・・難しいこと考えたところで出来るのは着込むぐらいですが(笑) ただし、そういう強風雨の状況で、追加で着ると言っても実際には困難。フリース追加しようにもずぶ濡れになる。風雨しのげる場所を確保するほうが重要だ。

つーか、結局何を言いたいのかと言うと、山でのいろんな行動、理由、あれやこれやは、サイエンスとしてとても面白い。ということです。

くま帽かぶりながら、こんなことを考えつつ山を歩いているといつのまにか山頂です。へんたいではない。
 

 

 


ヤマちゃんにもらった。

 

 

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