熊怖がりな人を長倉尾根に連れて行くには、時に嘘も必要である。

 

木漏れ日、燦々(さんさん)と。


 

長倉尾根。北泉ヶ岳から三峰山へと続く長大な尾根である。果ては、船形連峰の主峰、船形山へと至る。昭和53年発行のアルパインガイド”東北の山” (船形山南部縦走―定義へ下山―)にはこう書かれている。

 

“船形山から南東へ延びる長大な尾根を先端の泉ヒュッテからたどるもの。おおらかな船形山塊のよさが十分に味わえる縦走である。コース自体はそう難しくないが、船形山への登山コースの中では一番の長丁場。稜線上で幕営しなければならないので健脚向けだ。

 

 

 


牛野ダムから望む長倉尾根。左端の北泉ヶ岳から、中央の三峰山まで続く。果ては主峰、船形山に至る。
 

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長倉尾根は熊が多いんである。

 

この長倉尾根であるが、熊が多いことで知られる 。―― 上を見上げたら、木の上に熊がいた! ―― 長倉尾根で熊に追いかけられた! ―― あそこはやばい! 等々、ブナの会の山行で、さんざんっぱら長倉尾根の怖さを叩き込まれたmikoさん。絶対に長倉尾根を歩こうとしない。超が付くほど熊怖がりなのである。

 

 

さて、本日であるが、敢えて山歩きをすることにした。というのも、ここ最近天候にも恵まれない週末が続いていたためである。イワナ釣りや、キノコ狩り、などなど、森歩きに勤しんでいたため体力低下が心配になったのだ。

 

 

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本日の予定

 

紅葉前のこの時期、特に遠征してまで山歩きをしたいとは思わないので、泉ヶ岳大駐車場に一台デポして、大倉山の麓から、大倉尾根にあがり、北泉ヶ岳を登って下山する予定でいた。

 

 

そう。北泉ヶ岳の手前にて、長倉尾根から三峰山へと分岐する箇所を通るのだ。

 

 

残雪期の船ヶ山縦走以来、およそ半年ぶりの長倉尾根であるし、私は少しでもいいから長倉尾根を歩きたかったんである。キノコも採れそうだしね。

 

 

ちょいちょいと、長倉尾根の話題を降ってみるのだが、つれない返事。

 

 

―― 長倉尾根は行かないからね!!

 

 

 

秋の足音ひたひたと。
 

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押し問答しているとトレイルランナーがやってきた。

 

―― 最近、トレランで使われるようになったみたいだし、整備されてるし、人もいると思うよ。 【嘘1】

 

―― 絶対いかないからね!(大事なことなので2回言いました)

 

 

そこへ、来週の泉ヶ岳トレイルランのために練習しにきているお兄さんたちがやってきた。ちょっと話しかけてみて、コース地図を見せてもらう。

 

 

 

 

  2018泉ヶ岳トレイルラン、コース見取り図

 

 

 

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うん。まったく入ってないな。(知ってたけど)

 

 

―― どうだった?

 

―― あぁ、うん、大丈夫みたいだよ。

 

何を持って大丈夫なのかよく分からんけど、これは嘘ではないな。大丈夫大丈夫。しかし、疑いの目は冷めやらない。

 

―― 行かないからね。

 

―― まぁどうせちょっとだけ歩くだけだしさ。

 

 

 


クリの実にそっくりなトチの実があちこちに転がっていた。ちなみにトチの実は非常にえぐくて食えたもんではない。動物は食べるものもいるらしいがよく分からん。ちなみに、落下すると弾けるのかどうなのかよくわからんが、たいてい割れているし、実は見つからない事が多い。ということは食っている動物はいるんだと思うが分からん。

 

 

栃の実を食べるのは誰だ(実験と読み物)

 

 

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適当に話をごまかしつつ取り敢えず大倉尾根へ上がった。

 

 

そこは秋の足音が聞こえる大変素晴らしい散策路となっていた。キノコもいっぱい。黄葉しかけている木もいっぱい。

 

 

 

 

 


mikoさんもルンルンでご機嫌である。

 

 

 

 


キノコもいっぱい見つかった。ハッピーハッピー大ハッピーである。すっごい紫色なムラサキシメジ。
 

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そして、長倉尾根分岐に到着。

 

 

さりげなく、そっち(長倉尾根)へ入る。

 

 

 

すかさずツッコミが入る。

 

 

―― 行かないよ?

 

 

お!ルンルン気分で、どうも勢いが弱くなっている!これは押せ押せだ!

 

 

―― 大丈夫大丈夫、ちょっと行くだけだから。

 

 

遂に諦めたようだ。仕方なしについてくるmikoさん。

 

 

入尾根成功!

 

 

 

笹、きらめく。
 

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楽しい楽しい長倉尾根

 

 

トレランのために大倉尾根の登山コースはしっかりと刈払いされていた。しかし長倉尾根に入った途端雰囲気が変わる。

 

 

mikoさんの疑問が続く。

 

 

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―― なんか刈払いあまりされてないよね。なんかオカシクない?ほんとにトレランコース?

 

 

―― そんなことないよ。結構広いじゃん。歩きやすいし。(嘘2)

 

 

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―― さっき前に走ってたトレランの人、こっちに入った?

 

―― うーん、どうかなぁ、ちょっと離れてて見えなかったよ。(嘘3)

 

 

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―― これさぁ、大会前は、ピンクテープとか付くんだろうね、迷っちゃうだろうし。

 

―― そうかもねー。(そんなことは無い。だってここ走らないし) (嘘4)

 

 

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mikoさんの疑問は続いたのであった。

 

 

 


たわわ。知らない木の実。

 

 

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そんなこんなで長倉尾根の水場着。

 

 

 


ここはいい休憩場所なのである。水もある。広い。テン場として使われていた場所でもある。美味しそうにオニギリを頬張るmikoさん。後ろの二人組は、三峰山に向かったが、背丈ほどの藪で撤退してきたらしい。こんなとこで人に会うとは奇遇である。

 

 

 

とにもかくにも、半年ぶりのここに来れて、私は大満足だったんである。

 

 

 

ちょうどシャッター切る時に、虫が眼に入ったんである。

 

 

 

 

おしまい。

 

 

 

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おまけ

 


秋が来るねぇ。

 

 

 

 


ナラタケ。ウスヒラもたくさん取れて、下山後のキノコ汁には十分なキノコが採れた。

 

 

 

 


ニガクリタケ(毒)

 

 

 


長倉尾根の水場。水源はもうちょい手前にある。

 

 

 

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