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映画の感想でも書いてみるか。

 

 

先日、映画 「マイナス21℃」 を見てきた。雪山遭難&サバイバルの映画である。私は遭難サバイバルものが好きである。世に出ている山岳遭難報告書も、これは為になる、と結構読んでいる。ところで、映画や本の感想といった類は、ブログでやろうとは思わなかったのだが、ちょっと書いてみたくなった。

 

 

 

観ていてる間から気になりだしたのは、とある映画との印象の違いだ。その映画とは「127時間」。こちらは峡谷(キャニオン)遭難&サバイバル映画。ともに海外の実話を基にしている点で共通している。似たようなシチュエーションのサバイバル映画なのだが見ごたえは全く異なったのだ。

 

 

 

 

 

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(以下、ネタバレあり)

 

 

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「マイナス21℃」
は、山に関しては多分一般の人。スノーボード中に立ち入り禁止区域に入った上での道迷い遭難とサバイバル。極寒の中、氷結した湖に落ちたり、ひどい凍傷になったり、凍傷の一部を食ったり。主人公は元プロアイスホッケーのプレイヤー。自己中的な脱落をしてしまい、人生転落の真っ只中。数日後には裁判所に出廷しなければならないという悲惨な状況。

 

 

 


「127時間」
は、登山家でもある人が峡谷で事故、そしてサバイバル。こちらは人生に挫折中ではない。映画には出てこないが、元インテル社の社員だったということである。しかも大学を主席で卒業するようなエリート。その人が峡谷トレッキング中、巨岩が動いて腕がちょうど挟まり、腕が抜けないまま、とんでもないところで宙ぶらりん。進退窮まる。最終的には腕を自ら切り落として生還。

 

 

 

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それぞれ、雪山、渓谷を舞台にしたサバイバル映画であるし、どちらの(実在の)主人公も、生にしがみつき、あがく。見るも痛々しいシーンが各所にある。「127時間」では、尿を貯めて水分を確保して耐えつつ飲むシーンなど目をそむけたくなる。最後は自ら腕を切る。しかし、生物の生命への執着のすごさを感じる。

 

 

「マイナス21℃」の方も過酷なシーンがあり、同じく、生命への執着のすごさを・・・・・あれ・・・? 感じない。

 

 

どうしてだ?

 

 

実話なんだし、大方の筋はあっているのだろうし、過酷であったろうということは頭では理解できている。しかし伝わってこない。どうにもこうにも、実際あったことと違うところが多いんでない? と観てしまうのだ。一方で、「127時間」の方は素直に見れて、素直に伝わってきたというのに。

 

 

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何故だろう

 

 

映画の脚本の問題なのか?

遭難の設定が違うからか?

演出の差か?

観ている自分の問題か?

 

 

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そんなことを途中から考え出すと、ますます、感情移入が出来なくなっていた。

 

あとになっても気になって、思案していたのだが、腑に落ちた気づきがあった。

 

 

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「削っている」

 

 

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のではないかということだ。「盛っている」ではない。「削っている」だ。

 

 

「マイナス21℃」では、映画で(あるいは原作でもか?)見せてしまうと、さもするとチープに見えてしまうような部分を意図的に「削っている」のではないだろうか。故に、全体を通してドキュメンタリー性にあまり重きを置かない映画構成となった。ドキュメンタリー性を期待して観に行った私からすると、回想シーンの入れ方や、母親の行動など、演出も入れてカットインしてくるヒューマンの部分が逆に邪魔で、ドキュメンタリーとしては間延びしてしまったかのように見えてしまった。

 

 

 

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一番気になったのは、サバイバル生還劇において、ほとんどこれがすべてだろうという、水の問題。「マイナス21℃」 はあまりに端折っている。あんな小さなナイロン袋で、雪を溶かしつつ、何日も必要な水を確保出来たわけがない。そもそも体温を使って雪を溶かして水を確保したというなら、雪を食ったのと同じで、熱量的には水分補給になっていないのではないか? そのようにして水を飲んだ時もあったのだろうが、一週間を通して言えば、実際には違うやり方で水を確保できていたのではないか? それと、本当に極寒だったにも関わらず低体温症で死ななかったのならば、映画では見せていない本当の事実や状況がもっと隠れているのではあるまいか?

 

 

 

本来、伏線になるべき、--雪を食べたら返って脱水になるのよ、という冒頭の救助隊の女性の言葉も、その後、ほとんど絡みがないまま終わった。極寒の雪の世界の8日間、水をどうしたかについてはもっと触れても良かったはずだ。つまりは、この水問題について、あまり掘り下げたくなかったんではなかろうか。この辺りの疑問から、実際に居たであろうシチュエーション含めて、いろんな部分を削りまくっているように見えて仕方が無かったのである。事実は分からない。しかし私はそう感じた。というだけだ。

 

 

 

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「削る」代わりに何を持ってきたかと言うと、ヒューマンだ。ところがである、もはやドキュメンタリーメガネを掛けて観ている私には、そのヒューマン部分もチープな演出にしか見えなくなってしまったのだ。

 

 

主人公が持っていたラジオの電波を、救助本部でソナーみたいな機器を使って受信する? いやいやいや、そんな探索方法あるの??? 無線機を持ってたなら分かるよ? でも、あれただのラジオでしょ!? 一般の受信専用ラジオが、何キロも離れた所で感知できるほどの何がしかの強い電波を発するというのか?? しかも位置特定までしちゃってんだよ!三角測量的なソナー探査すらしてないだろうに!!!主人公が持っていたラジオによって、ビーコンみたいにして、位置特定出来て救出に向かったという展開になっているが、そんなのあるの!?あるなら登山者はすべからくラジオを持ったほうがいい!10km近く離れていてもビーコンみたいに使えるんだから!!

 

 

いやこれは純粋に本当の所どうなのか知りたい。アメリカではそんな手法が普及しているのだろうか。

 

 

危機管理本部みたいなところの隊長みたいなお姉さん!お母さんが、あそこまでお涙で、息子の救出と、”母”としての気持ちを、同じく母を持つ娘でもあるあなたに訴えているのに、感情としてレスポンスするシーンがまったく無い。ここは大いに盛り上げて然るべきシーンではないのか??? ヒューマン映画に軸を置くならそこはしっかり使ってくれよ!!!

 

 

主人公!凍傷した足の患部を毎日毎日ひっぺがすとか、あんたマゾか!!そんなに傷口が気になるか!!剥がした所で処置するもの何も持ってないじゃん!いや・・・でも、瘡蓋を剥がしたくなる変態気質は私も持ち合わせているので実はとても共感できるんだが。

 

 

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はあはあ。

 

つい熱くなってしまった。

 

 

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そんな折、他の人はどういった感想で観たのだろうとちょっと気になって検索してみた。

 

 

検索してみたら、なんと、

 

 

一発目に、リアル山仲間のツイッターらしき感想が出てきたではないか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

読んでみると!

 

 

すごく素直にヒューマン映画を受け取った好青年的な清々しい感想が書かれている!

 

 

 

まぁ実際、好青年な人なんだけどさ。

 

 

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最終的な感想。

 

 

私はとてもひねくれた天の邪鬼なダメ青年

 

 

マイナス21℃、忘れ得ぬ映画と成り申した。

全国で3上映のみという珍しい映画です。

 

 

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