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スキップの本質を知った日。

 

岩手山避難小屋のそば。ガスに包まれるお鉢(岩手山山頂、薬師岳)目前。

行くかどうか思案するリーダーとメンバー達。

 


 

 

山頂を踏むということ

 

私は、山頂を踏むことに、そこまで思い入れは無いようだ。しかし、日本の山の一般登山道といえば山頂を中心に作られているのだから、一般道の夏山歩きをするならば、てっぺんを好む、好まざるによらず、山頂を経由することがほとんどだ。とはいえ、苦労して登ってきたのだから達成感の集大成として、山頂まで行って一息つく喜びというのは自分にだってある。初めての山ならなおさらだ。

 

でも別に行かなくてもいいんじゃない?と思うことはしばしばある。初めて行った朝日連峰で、大朝日岳避難小屋に着くや、100m近くさらに登ってまで別に山頂までいかなくていいじゃん? 稜線を楽しみに朝日に来たんだし・・・なんて思ったが、お連れ様はそうも行かないので一緒に登った。

 

 

 


大朝日岳避難小屋と大朝日岳山頂。

 

 

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岩手山山頂を前にして悩むリーダー

 

かくして本日。岩手山山頂を目前にしてリーダーS氏は悩んでいた。網張からの裏岩手コース。標準タイムでも往路で4時間半ほど。7時からリフトを3本乗り、8時少し前に登山開始。ここに着いたのが11時半近く。お鉢を上がって山頂に行って戻れば1時間ほどかかるという。下山時のリフトの事も考えると時間配分が心配なのだろう。おまけにガスと強風。長袖でも肌寒い。とんでもない風と寒さを容易に想像できる。

 

行かないで小屋で待っていると言う人。行ってもいいと思っている人。意見が分かれる。リーダーの奥様は行くという。山の相方のMさんも行きたいようなことを言う。猿氏は声にこそ出さないが行きたい空気をぷんぷんと出している。

 

私はというと山頂を踏むことに強い思いはなかったけれど・・・。この風と寒さとガス・・・。実は嫌いじゃない。特に山頂から見下ろすと、ガスが沸き立つように、唸り声を上げて迫ってくる様は何度か船形山で経験している。寒くて、寒くて、強い風。そして、顔にぶちあたるガス。結構な好物なのだ。常識的な判断ではやめてもいいですよとは言いつつも、暑い日が続いていたのもあっての今日の冷たい風。内心は行きたい。

 

 

リーダーは悩んだ挙げ句、数人を残し荷物番を頼み、出発した。

 

 


小屋より上がちょうどガス。

 

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出発して間もなく。同じく登ろうとしている他の登山者は雨具着用のようだ。なんたって寒い。私はというと半袖だ。しかも下着の類のアンダーウェア。はっきりいって、下着姿でほっつき歩いていると言っても過言ではない。通気性抜群。みんな寒い寒いというが、私は涼しくてたまらない。――― 暑さ感じてる? 寒さ感じてる? などと珍獣を見るように聞かれた。しかし涼しいといったら涼しいのだ。

 

 

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逃げろ逃げろ!

 

荷物を置いた私は、歓喜しながら駆け足気味にザレ斜面を上がった。

 

ほとなく。女性メンバー2名程が風がすごすぎると脱落。降りて待っているという。残るは4人となった(あとからMさんが降りずに来ていたのを知る)。リーダーの顔をちらりと見ると。撤退判断をしかねない表情をしている。

 

やばい。

 

降りたくない。降りたくない。降りたくない。

 

 


八合目避難小屋。なんだかすごい立派で売店もあるらしい。小屋で待っていたメンバーは、待っている間に行ってきたという。

 

 

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私はリーダーが判断する前に駆け足で上に逃げることを選択(笑) なんたって空身だ!走って登れる!風によろめきながら。

 

あっという間にガスで下の面々が見えなくなる。

 

よしこのまま行ってしまえ!

 

 

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暑さより寒いほうが好き

 

雨具を着て降りてくる人たちが私を生暖かい目で見ている。・・・ような気がする。寒くないの・・・と。

 

私は常々思っている。暑さは対処のしようがない。裸になったって暑い。水を飲んだって暑い。だから、どうにも耐えられない。しかし、寒さはどうにかしようがある。動けばいいのだ。冬山をする人ならよく分かると思う。何枚か着て、アウターを羽織るだけで氷点下でも快適に過ごせるのだ。反面、対処しようのないのが暑さ。故に嫌いだ。寒さはなんとでもなるのに暑さはどうにもならない。なので、--寒いより暑いほうが好き、とこう言う人を私は全く理解できない。

 

ガクブル震えながら耐えてる自分。なんかゾクゾクしないかい? ぼく耐えてる!

 

寒さ最高!

 

 

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猿氏をまかなければならない理由が私にはあった

 

ところで、視界後方に猿氏が見え隠れする。彼は純粋に上まで行きたいのだ。しかも、私と同じようにリーダーの撤退判断を恐れているのか、なるべく早く歩いているようだ。でも私のように勝手に駆け上がったりしない。大人だ。されど、意図は一致している。しかし、私のもう1つの意図とは合致しない。

 

 

お鉢の稜線。私は、向かい風の強風に押されながらスキップで山頂に行きたかったのだ。しかし、誰にも見られたくはない。下手なスキップだったりしたら恥ずかしいじゃないですか(笑)

 

 

お猿氏、くんな、くんな、と念じながら私は速度を上げた。

 

 

 


イワブクロの花に目をとられたお猿氏。引き離すチャンスだ。

 

 

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Mさんを待ってやることができない理由があった

 

そしてその時、Mさんがよろよろと登ってきたのがちらりと見えた。しかし、サポートしてやるわけにはいかない!ペースを合わせて、一緒に歩いて登れば皆に追いつかれてしまう。リーダーに追い付かれてしまうわけにはいかないのだ!

 

私は一気にスピードを上げて猿氏とMさんを巻いた!さらば、Mさん!

 

 

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スキップとはこうだったのだ

 

そして、遂に誰もいないお鉢稜線に出た。向かい風の暴風!ガスが体中にぶちあたる!風のうなり声!

 

 

喚起の声があがる。嬉しくてたまらない!

 

 

そして、自然とスキップが始まった。

 

 

私のスキップに足りない要素とはこれだったのだ!

 

 

内から湧き上がる喚起で刻むステップ。タンタタン、タンタタン。それがスキップの本質だったのだ!

 

 

 


山頂

 

 

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ガスガスのお鉢の稜線でスキップで上がる私。

 

 

もちろん顔はにやけている!

 

 

半袖でスキップして山頂に向かう青年おんつぁん。

 

 

変態だ!

 

 

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山頂に着いた

 

満足した私は、山頂にあった西側の大岩にどっかと腰掛けた。西の眼下から湧き上がるガスと風を存分に体に浴びた。皆が来るまでの5分弱。私の心は喚起した。

 

 

山って良いなあ・・・・

 

 

 

こんな感じでした。

 

 

 

実は然程、暴風というわけでもない。もっとすごい時はいくらでもある。船形山初登頂の時はもっとすごかった。テントも担いでいたので重かったが、重いと吹き飛ばされはしないけれど、ヨロケルと立て直すことが難しい。稜線で何度も膝を着いて風が止むのを待った日であった。

 

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スキップできるようになったよ!

 

嬉しければね。平時は多分ぎこちない無表情のスキップ(笑)

 

 

4 件のコメントがあります。

  1. ガスガスに強風、「あー気持ちいい」に同感です!! 
    暑い山はそろそろ懲りてきていて・・雪山が恋しいよ~~ (ー_ー)!!

    スキップはあまりうまくならないうちに、mさんと一緒にふふって笑いたい。

    それにしても、写真大好き集団、その実、強烈個性の塊の方々の様子で(失礼?(^_^;))、まとめるS氏のご苦労も、垣間見れますね。(笑)
    一つ粒で3度おいしい(ぷーさんブログ、SONEさんブログ、モンキーさんヤマレコ・ブログ) 楽しみにしてま~す。 ヽ(^o^)丿

  2. こんばんは。今日は涼しかったですねえ。

    全国暑くても仙台だけ涼しいのがいつものことだったのですが、やっとそれが来たような日でしたね。
    ほんとに秋と冬が恋しいです。
    とはいっても今年はいろいろと連れ出して頂いているので出不精にならずに済んでいて感謝感謝です。
    多分一人だときっとクーラーかけて籠もってる・・・(笑)

    朝日二泊お疲れ様でした!びっくりしちゃいましたよ!

  3. ひとり遊びがとても上手なので、一人でいるのが好きなのかと思いきや そんなこともないようなので
    人間は一人では生きられない ってどこかで聞いた言葉を思い出しました。

  4. おはようございます。寝坊して今起きました。天気もちょっと悪化気味で明日も微妙になってきました。

    ”人”という字は、二人の人が支え合いながら、助け合って生きていくから”人”なのです。という金八先生の言葉を思い出すとともに、
    でも、よく、”人”を見てみると、一人の人がもうひとりの人を支えてるだけじゃん!、という宇宙兄弟にでてきた言葉も思い出しました。

    どっちも正しいと思います。

    ちなみに毛玉は何かを作っていて形が変わっていっているのではなく、手持ちぶたさにニギニギしたり、転がしたりして、自然と形が変わっていっているだけです。

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