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空飛ぶ種

庭先に落ちたカエデの種が発芽 (benさんご提供)


 

4月になり、冬が終わって残雪時期になると、雪深い升沢の森でも雪が腐りはじめ、根開きがさらに広がる。やがて芽吹きが始まり、春が来る。春の訪れをまっさきに知らせてくれる花といえば、湿地に咲く水芭蕉だ。升沢遊歩道のそばにある大沼の水芭蕉は見事だ。熊の恐怖に耐えてでも未明に行っちゃいたくなるほど素晴らしい。それから2週間もすると、樹々にも新緑の淡い緑がぽつぽつと現れる。升沢の森で早くから芽吹く樹々のうち、いっとう目立つのはカエデだ。赤い穂を鼻っ柱にして、くしゃっと丸まったカエデの掌が淡い緑の房のようにたゆる。クマはブナの新芽を好んで食べるようだが、カエデが新芽を出す頃、まだブナの芽は小さい。冬眠明けのクマ。まずは水芭蕉などを食い、やがて芽吹くカエデの新芽もきっと食べていることだろう。

 

 

 


カエデの新芽。葉先には赤い穂を実らす。

 

 

 

ところでこのカエデ。初夏が始まる頃にはもう実をたずさえるが、楽しい形の実を付ける。翼果というらしいが、まさにヘリコプター。うまいこと写真が手元になかったので、気になる人は検索してみてください。実に面白い形をした種である。上昇気流にうまく乗っかることが出来れば、遠く、遠くへと飛ぶこともあるのではないだろうか。BENさんの庭にもどこからともなく飛んできたカエデの種が舞い落ちた。

 

 

 

 

 

 

どこからともなく飛んできた種は庭先に落ちて芽吹いた。そして岩の一箇所に安住の地を与えられた。空に乗ったタケコプターカエデ号。風によって運ばれた。そして人の手によっても運ばれた。タイヤは飛んでほしくないが、カエデの種は元気よく飛んで欲しい。

 

 

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