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嘉太神と仮想コイン

嘉太神(かだいじん)と仮想コイン。音感が似ています。いやそういうことではない。全然無い。嘉太神という地名である。大和町から船形山山麓、旗坂キャンプ場へ向かう途中にある。この付近は、猟師も活動しており森の獣たちも賑やかな場所である。また、知人のC氏とクマたちが根城にしている場所でもある。夜が明けた頃、早朝にここに訪れればクマたちと楽しそうに遊んでいるC氏の姿をもれなく見つけることができるだろう。C氏は、大寒波で日本中が凍りついたこの数日も、窓を明けて外気を取り入れながら就寝するという、自然をこよなく愛する豪傑である。私も少しは見習わなければならない。

 

さて、本日向かう先は、泉ヶ岳、桑沼のそばにある黒森に向かう予定で計画を立てていた。大寒波が到来した今週。山は厳しすぎるし、山麓の小さな山と森歩きをするには最適な日和となることだろう。泉ヶ岳スプリング・バレー駐車場から向かう定番ルートを予定していたのだが、寒波で降り積もった雪で厳しいラッセルが予想される。誰か行く人はいないかと、ぽつぽつとお声がけしてみるが、反応は薄い。何を好んでこの寒波の中、山へ。という暗黙のお返事なのかもしれない。確かに、稜線に出る山歩きには厳しい寒さと風だ。しかし、森歩きでは森を楽しむスパイスになるのだ。雪面を舞う地吹雪、夜の間に樹々の幹や葉に付着した雪が舞い落ちる光景、凍てつく氷。厳しい寒さや風の中でなければ出会うことができない。森歩きとはそういうものなのだよ、と、今日ご一緒することになったMさんに偉そうに懸命に講釈する。なんせ、「何でこんな寒波の来ている中、山に向かわなければならないのか」と小うるさいのだ。えーい、黙れ黙れ!森歩き初心者め!せいばいしてくれるわ!などとは言わない。雪が舞う森の良さを力説し連行することにする。ラッセルは一人では厳しいのだ。仕方がない。

 

 

 

雪が舞う。マンノウ滝に向かう途中にて。

 

 

話は戻る。そう黒森だ。メジャーなスノーハイクルートならば興味を持つ人もいるだろうと思ったが梨の礫であった。それではもう好きな方向から向かってみようと、旧蘭山スキー場を通過し、蘭山を左手に見ながら進み、蘭山から黒森まで続く尾根を通り、黒森へと向かうルートを検討した。この尾根の途中に小高いピークが2つある。このピーク。スプリング・バレースキー場の駐車場から目立つように見えるピークで山頂には木が無いようなのだ。きっと眺望が得られるはずだ。「ここから見る泉ヶ岳は圧巻だろうよ!」とまだ行きたがらないMさんに力説する。するとちょっと目を輝かせる。「だけど、近すぎて山って感じに見えないけどね。」と言うと目の輝きは消えた。「ここからはきっと、スプリング・バレースキー場の全貌が一目で見渡すことができる稀有の場所だよ!そんな場所絶対ないから!ゲレンデ一望!」と力説してみる。「そんなものは見たくない。」 なぜ山に入って人工物をみなければなないのかと一刀両断である。「ちっちっち、分かっていないな。大自然の中から人の営みを見る、これもまた一興なのだよ!」と言ってみるが苦笑された。まあどうでもいい。連行するのみだ。ラッセルは交代ね。と心のなかで言っておく。そして木曜。ルート計画を立て、登山届を提出。誰も居ないようなことに行くことの多い私は必ず登山届は出すようにしている。これだけは律儀に続けている。しかし、ここまでしておいて金曜に予定が変わった(笑)

 

「嘉太神(かだいじん)からマンノウ滝を見に行こうぜ!大寒波で、もしかしたら凍ってるかもしれない!」 いつも私はこうである。前日に予定変更なぞ日常茶飯事だ。「地図も用意して、事前にルートを確認してもいつも役に立たない!」と文句を言われようが気にしない。行きたいんだから仕方ないじゃないか。あらためて、予定を作成し、スノーシューも新調したことだしと、ワクワクして前夜に準備にとりかかろうとしていた時であった。ライブ情報が入電(ツイキャス、ツイッターを使ったライブ動画配信)。当日大ニュースになっていたコインキャッシュ(仮想通貨の取引所の1つ)から何百億というコインハッキング事件にまつわり、被害者やマスコミが集まり東京の本社前が慌ただしくなっているというのだ。やっと話が戻ってきた嘉太神(かだいじん)と仮想コイン。音感が似ている。いやそういうことではない。

 

 

 

冬型の雪雲は進出したり後退したり目まぐるしく天気は変わった。

 

 

ちなみにわたくし。仮想コインには並々ならぬ興味を持って観察しておりました。ブロックチェーンの仕組みや、売買を扱う取引所の仕組み、ビットコインマイニングについても技術的興味から情報を漁ったりもしていたのだ。ところで、昨年12月、ビットコインが暴騰して240万という破格の値段を付けたおり、口座開設の準備をしていた。今更買ったってもう遅い。そんなことは明白だ。本来、新たな決済手段、送金手段として、生まれた仮想通貨であったが、今や、投機対象としてしか利用されていない。買っている人も99.9%投機目的だ。決済手段目的として買っている人などほとんどいない。つまりは、上がるから買っているのだ。儲けたいから買っているのだ。ところがこういう状態であるから、買う人が出て来る限り上がり仮想通貨の価格はずんずんと上がり続ける。しかし、その先にはなにがあるだろう。上昇は永遠には続かない。いずれ不死鳥のような上昇も止まる。上がらなくなれば皆引き出す。上がらなくなれば買う人もいなくなる。買う人がいなくなれば下がるしか無い。そう、いずれ暴落するに決まっているのだ。上がるから買っているのに、上がらなくなったら誰も買わなくなる。明白だ。240万をつけようが、いずれは100万を割り、30万までも平気で割っていくことだろう。おそらく、価格が落ち着いた時こそ、仮想通貨としての新しい価値がきっと問われることになるであろう。そう確信していたのだ。という確信のもと、売り(株でいうところの空売り)で入ろうとタイミングを探っていたのだ。もう一段階、必ず暴騰が来る、このタイミングで売ってやろう、と虎視眈々と狙っていたのだ。しかしながらそのタイミングは遂にやってこなかった。12月に高値をつけたビットコインは、その後、非常に大きな上下動をしながら落ちていった。あの時が、最後の打ち上げ花火だったのだ。売りで入るタイミングを逃し、結局なにもしないまま、少し入れていた現金は出金した。とはいえ興味のあった仮想通貨。このライブ放送に興味津々である。この時、21時。もはや山にいく準備なんかしていられない。私はPCモニターから流れるライブに釘付けである。なんと23時半からは経営陣による記者会見も行われるという。被害にあった方には大変申し訳ないとは思うが、見逃すわけには行かない。何があったのか今すぐにでも知りたいとムクムクと興味が沸き立つ。

 

 

・・・かくして、全てが終わった時、時計は25時半を廻っていた。一連の放映を見終えた私はもう燃え尽きていた。なぜ。

・・・あ、山に行く準備・・・。呆けながらノロノロと準備をし、布団に入るが、興奮冷めやらぬ私はなかなか寝付けない。オリンピック観戦より興奮したのだから仕方無い。なぜ。

「明日30分遅くしよう?」と連絡を入れたくなったが、さすがにそれはまずいと思いとどまり、なんとか就寝する。・・・かくして朝、6時半に起きたものの、私は燃え尽きていた。なぜ。

5分先に目覚ましを掛け直し、二度寝である。更に起きると、さらに5分先に目覚ましをかけ、3度寝である。私は燃え尽きてしまったのだ。なぜ。

 

 

重い(いや心)を引きずりつつ、待ち合わせ場所へ向かう。もう今日いいんじゃね?と心のなかで思うがそういうわけにはいかない。音感が似ているからといって、仮想コインで嘉太神(かだいじん)を消滅などさせてはならない。かくして、嘉太神に着いたが、思いの外、すごい雪である。これはきついラッセルになる。なにせ往復13kmを超えるのだ。こりゃ無理!ぜったい無理ー!気持ち的に。とは言えないので出発。ところで、新調したスノーシューは素晴らしい。装着脱着が10秒だ。これはものすごい利器である。MSRが高くて躊躇している知人がいたら、声を大にしてTUBBSをオススメしたくなるほどだ。しかしながら気力は戻ってこない。仮想コインで燃え尽きたなどと言うわけにもいかない。Mさんはマンノウ滝がみたくてルンルンである。普段しないラッセルも果敢にするほど気力は充実している。

 

 

 

深雪ふかふかラッセルは厳しかった。

 

 

 

1km進む度に私は言う。「これはペース的に厳しい、まず届かない。戻って風の谷(嘉太神にある)を散策しよう。」 仮想コイン騒ぎのせいとは決して言うわけにはいかないのだ。

「このペースだと到着14時半ぐらいになる計算。今日は雪が厳しかった、もう十分進んだし、ここまでにしよう。」仮想コイン騒ぎのせいとは決して言うわけにはいかないのだ。

なかなか引かないMさん。ラッセルを続ける。12時、残り2.5kmまできた。「もう厳しい、戻ろう。良い光景もいっぱいみれたしね!」 仮想コイン騒ぎのせいとは決して言うわけにはいかないのだ。

ようやく引き下がったMさん。よかったよかった。ほっと胸をなでおろし、帰路を歩く。途端に私の気力は充実。帰れるー!ルンルンである。ガンガン戻る私に対し、Mさんは気力減退、歩調が悪い。仮想コイン騒ぎのせいとは決して言うわけにはいかないのだ。

 

 

かくして駐車した場所に14時半に到着。風の谷にある小滝を案内し、これが風の谷のマンノウの滝だよ!とほざく。Mさんがなぜか冷たい目で私を見ている。ような気がしたが気にしない。

ここで遅い昼食を取った。珈琲を入れようとしたらコーヒー豆を忘れていたのに気づいた。呆けていたので仕方が無い。Mさんがなぜか冷たい目で私を見ている。ような気がしたが気にしない。

靴を脱ぎサンダルに履き替えようとしたら、サンダルを忘れていた。Mさんがなぜか冷たい目で私を見ている。ような気がしたが気にしない。

 

 

かくして家路についたのであった。しかしほんとに山歩きは気力ですよね。嘉太神(かだいじん)と仮想コイン。そんなことをあらためて思わせてくれた出来事でした。

 

 

 

 

ほんとにきつかったんだよぅ。

 

 

 

 

 

2 件のコメントがあります。

  1. 長文だったに関わらず、良く分からなかったのですが、もう仮想コインの投資はやめたんですか。
    あたしは「トーク&コミックやさしい金融学」で得た知識だけで株をやってみようと思ってます。

  2. 仮想コインは、結局、口座を開いただけで、狙っていたチャンスは逃したまま出金して終わりました。
    私の仮想コインフィーバーの損失は入出金手数料の850円でした(笑)

    株は、今現在、暴落がおきそうな気配もあるので落ち着いてからがいいですね!

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