0

ナラ枯れ、くん蒸、キノコ

先日、七ツ森で、くん蒸したビニール被膜が破れてる朽木にキノコ(ナラタケ)が付いていたのを取って来た。ビニールが破れていることと、キノコが付いていることから、期間が経過したものと思われるが、このビニール被膜は、ナラ枯れ対策の処理をしたものだ。このキノコ、食っていいのか?疑問は当然出ると思う。結論から言うと問題ない。気分的には少し問題があるかもしれない。本題の前にナラタケの話を少し。

 

ナラタケ、ナラタケ菌

ナラタケは腐朽菌としてはかなり強く、生立木の根にとりつき、根から根に渡って地中で広がり、生きた木を弱らすほどであるという話もあったりする。広葉樹全般、サクラ、松、ヒノキなどにも付くのだ。しっかり生きている木は大丈夫という話もある。良くわからない部分は多いと思われるが、菌として強いのは確かだ。あまりに強いので病原菌扱いされる場合もある。ちなみにムキタケは自然朽木についているものしかなかった。このあたりから見てもナラタケの強さを窺い知れる。

 

深山のナラタケ、里山のナラタケ

ナラタケ菌にも種類がいくつかある。また、同じ菌種だとしても、環境によっても子実態であるキノコの様子はちょっと異なっているかもしれない。深山のナラタケと里山のナラタケは色がちょっと違う。味は殆ど変わらない。花もそういった傾向はあるので同じことかもしれない。木の種類が違えば子実体の様も多少違うであろうというのはおかしな話ではない。

 

 

深山のブナの朽木から出てきたナラタケ

 

里山(蕃山)の巨大ナラタケ。少し白い。転載させて頂いたもの。巨大だ。

 

結構違いがある。と言っても里山にも深山のブナに出るナラタケとそっくりなものもあるので、一概にこうであるとは言えない。里山のミズナラの朽木に出るナラタケは、白いものが多い。ナラタケ自体、経過日数で色も形も大きさもどんどん変わるのでその差異もあるかもしれない。季節の差も大きい。深山では基本的に初秋、紅葉の始まる前に出てくるので、気温も湿度も高い。よって腐るのが早い。一方里山では少し遅めのものがある。紅葉期にでてくるものは、気温も湿度も深山のそれより低い。それ故に虫食いや腐れが少ないという可能性もある。

 

ナラ枯れ

近年話題になる里山のナラ枯れ。シノナガキクイムシという(ナラにとっては)害虫と、これと共生する菌によって発生すると言われている。シノナガキクイムシはナラの生存木に突入して内部から食い荒らす。これと共生する菌と相まってナラ枯れが起こる模様だ。詳しくは検索してみると、都道府県で情報を出しているのでいくらでもみつかる。隣県では山形がひどかったが終息に向かいつつあるらしい。一方、宮城は恐らくこれからだ。ちなみにこのナラ枯れ、江戸期より記録があるらしく、特に今になって出てきたものではないが、全国的に爆発している理由として挙げられているのは、1つに、里山利用形態の変化との関係だ。放置された里山は富に増えている。薪材やキノコのほだ木としてよく使われていたナラだが、人の生活形態の変化によって利用は減っている。里山を人が利用すること自体が減っているのだから致し方ない。一方で再生が出来なくなる土砂採掘や山自体を潰す利用の仕方は増えているかもしれないが。

結果として増えているのが樹齢の進んだナラだ。シノナガキクイムシにとっては樹齢が高いナラがあればあるほど生息数を増やしやすい。このままでは・・・と、心配が尽きないが、生態系の持つ弾力性を考えた場合あまり気にせずともよいとも考えられる。生態系には必ず揺り戻しがある。人が里山に入らなくなった→ナラ類の樹齢が伸びた→害虫が増えた→ナラ枯れが大発生→ナラの樹相密度が減る→大増殖した虫の餌(樹)が減る→一方で日光を遮る樹齢のある樹が無くなったのでナラの若木が育ちやすい→再生、というパターンもある。後半部分はそうなるかもしれないし、そうならないかもしれない。分からないからこそナラ枯れ対策を行っているのだとは思う。再生という言葉を使っているが、あくまで、人やナラ(木)から見ての゛再生゛であり、虫から見れば゛衰退゛。山自身(に意思があれば)から見ればただの一変化であり、大事では無いかもしれない。

 

 

ナラ枯れの被害をどう減らすか(16p) 抜粋元 全国統計の結果であるので全国的な状況としては説得力がある。里山のコナラの樹齢クラスが25年もあがっているというなら生態系に対して相当なインパクトがあったとしてもおかしくはない。

 

 

 

ナラ枯れ対策

このナラ枯れに対して、国、自治体は伐採・くん蒸という方法で対処している。シノナガキクイムシが住みついて枯死したナラを伐採し、繁殖した虫が飛散しないように、ビニール袋で覆ってくん蒸して虫を殺す方法だ。これについても検索したりすれば行政から出しているパンフレットがいくつもみつかる。この方法は、NCSくん蒸剤というのを使うのだが、くん蒸というのは、ガス化する薬剤を使って密閉状態において飛散させることで虫を殺す。家でやるアースレッドみたいなのも方法としては一緒。NCSくん蒸剤はアンモニウム系のもので、農業(野菜栽培)でも用いられている殺虫剤。水溶性なのでいつまでも残ることもなく、ガス化してしまうので消えてなくなる。故にくん蒸に向いている。原液摂取や触れると害があるが、人体への影響は少ないので農業でも用いられている。現場においては、ナラ枯れした枯死木を伐採し、それらをビニールシートで覆い、NCS剤を散布、くん蒸して虫を殺す。はっきりいって重労働だ。費用もかさむ。里山を歩けばこのような処理をした木はみつかるものの、人が歩ける道以外ではほとんどみない。急な斜面などはまず無理だろう。というような方法になるので、多く広がる里山でナラ枯れ対策をしても、実施率は面積にしたらごくごく僅かしか出来ないのではないかと思う。それで効果があるのか疑問は残るが、やらないよりはやったほうがいいので実施しているのであろうし、やってみないことには分からない。個人的には、松の被害も、ナラの被害も、被害が広がった後に、虫にとっては餌となる樹が減るので、激減していくはずだ。よって、ほっといても再生に向かうのでは無いかと思っている。山を崩してしまえば再生はしないが、山が残っている限り、元の樹なり、他の樹がが再生するのではないかと。そもそも人が対策出来る範囲の部分だけを何かしたところで、なんとかなる規模の出来事なのだろうかと疑問に思っているわけです。

 

くん蒸朽木のキノコは食べていいのか?

話はキノコに戻ります。くん蒸後に期間が経ったであろうという朽木のキノコは食べていいのだろうか。冒頭で結論として書いたとおり。食べて問題無い。くん蒸剤がガス化されるものでもあるし、農業(野菜)でも使われている有害な残留物が残らない薬品であること。キノコが出ているので十分な日数は経っているであろうこと。などなど。

ちなみに関係各所に以前聞いた結果は、「面と向かって聞かれれば、食べていいですよ、とは言え無いですが、まぁね・・・まあ思ってるとおりだと思いますよ」 というお答え。さらに件のキノコを筑波の知人に送って、唯一可能性のあるアミン系化合物が含まれていないか分析してもらったのですが未検出。まあ、ガス化するものでもあり、かつ、有害金属も含まず、かつ、水溶性で、かつ、十分な経過日数、かつ、子実体が吸収する可能性、まで考えれば問題がある可能性はほぼ無い。それもあって、NCSがくん蒸剤としてナラ枯れ対策や農業でも使われているのでしょうけれど。それよりも普通の農作物の方が農薬関係の化学物質の量は多そうである。ただ、ただですよ、自然のものを採って食べよう、というキノコ狩りでこんな心配をするぐらいなら、気分は良くないし、あえて食べなくてもいいかもしれない。・・・が、見つければ採って食べるだろう(笑)。そもそも、この辺りを気にしだすなら、ベクレルのあれの関係で、キノコを食べるのもやめたほうが良いということになったりならなかったり。最近の測定結果において、食用するにもう問題ないとは分かっていますけれど、気分はよくないですしね。

 

 

コメントを残す