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山賛歌

「山は逃げる」

 

そんな感覚を山に抱いていた。

どんなに追いかけても、どんなに追い込んでも、山は逃げていく。

 

 

これまでの半生、思春期の頃から、たくさんのものに興味を持った。でも、逃げるようなものはなかった。

興味を持つと、取り憑かれたようにそれを追い込んできた。

 

 

小学生の頃は、ゲーム、プログラミング、ゲームプログラミング、裏山探検。中学生の頃は、鉛筆画、油絵、図工、工芸、読書。高校生の頃は、天体運動の理論・計算、学問の芸術とも言える微分積分とニュートン力学に惚れ込んだ。大学生になってからは、パソコンの組み立て、勉強の苦手な子を教える家庭教師、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、LAN、コンピューターウイルス、ハッキング、インターネット、インターネットコミュニケーション、ホテル大宴会ホールのドンデン返しが楽しかったアルバイト、競馬馬券常勝システムの模索と構築、パソコンインストラクター。博士課程にまで行かせてもらい、地下の流体・熱の流動解析、科学技術数値計算、英語論文読解・執筆、ヴァーチャルマネーゲーム、ウェブサイト制作、商用ウェブサイト制作。こっちに戻ってきてからは、アフィリエイト広告、マーケティング、キャッチコピー、チラシ広告、業務システムの構築、手作業業務の機械化・効率化・自動化、仕事で上に立つものの役割、経営に近い仕事。

 

興味を持ったものに向けて、時間を使い、エネルギーを注ぎ込み、頭をフル回転させた。好奇心を原動力に、情熱を推進力に、持てうる力を全て注ぎ込んで、徹底的に追い込んだ。そして、どこかに到達すると、すぐ飽きた。そんなことを繰り返してきた。結局、どれ1つ、一流にはなれなかった。一昨年、学生の頃お世話になった大学の先生に相談に行った時、「飽きっぽいんだよ」、と苦笑された。自分でも笑ってしまった。

 

 

山を始めてみたら、当初思っていた以上に はまった。もちろん追い込んだ。しかし、出来なかった。山は無理だった。追い込めなかった。休まなければ体力が続かない。追い込もうにも追い込めない。休んでいる間にも季節が遷ろう。新緑ほころぶ春も、深く濃い緑に覆われる盛夏も、紅葉に染まる秋色も、木々が立ち枯れする冬景色も。追いかけても、追いかけても、逃げてゆく。遷ろう。

 

悠久の時間に抱かれながら、山と森は、ともに遷ろう。今にして思う。山は父だったのだ。偉大にして、聳え立つ。そして、聳え立つその山の周りに、寄り添うように森が広がる。森は母だったのだ。父のそばに寄り添いながら、万物を産み、育み、その死を娶り、また生む。永久(とわ)にそれを繰り返す。森羅万象。真にそれを感じることが出来るようになれれば、桜井先生のような写真が撮れるようになれるかもしれない。そんな写真が撮れるようになりたい。

 

 

「山は逃げる」

 

 

そんな風に感じていた。

 

 

それは父だったのだ。父の逝く姿を、追いかけて、追いかけて、届かず、もがいていた。

そして父の様態が悪くなってきた頃からは、森に入り、母の姿を撮っていたのだ。

父に見せるために。本当の母の姿を父に見せるために。

 

 

父を求めたければ山に。母を求めたければ森に。

 

そこに行けば、いつでも、地球というこの惑星の父と母に会うことが出来る。

自分の父と母に会うことができる。

 

偉大な父でした。冥福を祈ります。

 

追悼 くまぷー拝

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっと自分が何をしてきたのか分かりました。

そしてやっと書けました。

これで次の一歩を踏み出し、羽ばたけます。

 

山と森、父と母に感謝します。

 

新しく買ったディスプレイ、プリンターにて、写真用厚紙で印刷して父の遺影のそばにおきました。

くまぷーとして(笑)

 

 

 

2 件のコメントがあります。

  1. 遅ればせながら、心よりお父様のご冥福を祈り、謹んでお悔やみ申し上げます。
    父が山、母が森、山に対する想いや感情は人様々ですが、クマプーさんらしい言葉ですね。
    共感いたしました。
    様々なことに打ち込んでこられたようですが、その道の達人と出会い、打ち解けていらっしゃる。
    サクラさんのコメントにもありましたが、何事から逃げずに打ち込み、妥協をしないことを
    皆わかっておられ認めておられる。うらやましい限りです。
    お父様、お母様へのこれまでの感謝の念を忘れず、更なるフィールドでご活躍されること祈念しております。
    素晴らしい写真と情景、楽しみにしております。

  2. あるとさんコメントありがとうございます。

    いえいえ、何でもかんでも中途半端で、飽きっぽい所が、なかなか何ともかんとも・・・。
    山は背中歩いてるような気がしますねえ、森は抱かれているような感じ。人それぞれだと思いますけど。

    今回が実は、色んなことが初めてだったのもあり、精神不安定になってしまいました。
    ちょっと周りの人に迷惑かけてしまいました。反省せねば・・・。

    今週末あたりからぶらーっと山麓いってこようかなあと思っています。
    まだちょっと写真撮りたい!って気にもなっておらず森歩きから始めたいと思います!

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